初心者でも5分で分かる!ガレージキットとフィギュアの違い

フィギュア趣味を続けていると目にするようになる言葉が「ガレージキット」。

昔からのフィギュアファンにとっては「フィギュアといえばガレージキットやろ」くらいの言葉でありつつ、ここ10〜15年ほどの世の流れによって「聞いたことはあるけどピンと来ない」という方も増えていています。

最近はあまり盛んではありませんが、昔はコトブキヤや海洋堂などもガレージキットを日常的に販売しており、フィギュアファン……というよりモデラーは思い思いにそれらのキットを購入して製作を楽しんでいたのです。

いまではほぼPVC製の塗装済み完成品がフィギュアとして支配的になり、あまりメーカー製のガレージキットでのフィギュアは見られなくなりました。

現在ではキューズQやボークスなど、一部のメーカーが発売しているほかは『ワンダーフェスティバル』などのイベントでアマチュアディーラーが作っているものが大半となっています。

今回はそんなガレージキットについて、PVC製フィギュアとの違いや楽しみ方について語っていきましょう。

そもそもPVC製フィギュアのつくられ方って?

PVC製フィギュアは主に、「いわゆるベリ型……金型から製作されます

これは正確には作られる工程などプラモデルに使われる金型とは異なるのですが、ざっくりと同じようなものと考えてください。

丈夫な金属でできた金型にPVCを流し込むことによって何千個、何万個ものフィギュアを量産することが可能になるのです。

ただし金型は作るのに何百万円もしますし、そもそも金属の削りだしや鋳造なんて個人じゃできませんよね。樹脂を流し込むのも家の設備じゃ無理だし……。

ガレージキットの作られ方

ガレージキットという名前はその名の通り、「家のガレージで個人的に作るキット」という意味の言葉です。

作られる数は小規模、数十個程度が普通。大手のキットでも数百個程度になります。

そうした小規模の生産を効率的に行なうために編み出された手法が「シリコン型による複製」です。これは上記の金型を用いた量産法に比べて圧倒的低コストで、机のうえで完結するのが魅力です。

具体的にはこのように、ねんどにフィギュアの原型をうめ、その上からシリコンゴムを流し込むことによって型を作っていきます。

上の図では上半分の型を流しているところですが、このあとひっくり返して、ねんどを取り除きもう一度シリコンゴムを流すことで上下ふたつの型ができ、そこにレジンキャストという樹脂を流し込むことによってガレージキットは作られます。

シリコンゴムを使った型は1万~数万円程度と安く作ることができるうえ、金型と違って柔軟性に富むという長所があります。

名前のとおりゴムなので伸び縮みするのですね。これがどういうことかというと、

型の柔軟性を利用して少し引っ張るようにしてパーツを取り出す

ということができるのです。

このためそうした無理やり抜くといったことができない金型製のフィギュアに比べて、ガレージキットはより複雑な形やシャープな形を成形するということができます。

よくガレージキットからPVC製フィギュアになったときに

シャープさが失われた気がする

と言われるのはこのためなのです。

余談ながら、フィギュアの予約開始時などに耳にする「デコマス」という言葉があります。

これは「デコレーションマスター」の略で、工場でフィギュアを量産、塗装する際のお手本とするためのマスター、という意味の言葉なのですがその工程の順序上、実際にフィギュアが生産される前に用意されます。

ではこのデコレーションマスターは何を使って作られるのかというと、やはりガレージキットのようにシリコンゴムで複製したものを使用しているのです(ただし最近では3Dプリンタで作られたものを使っているパターンもあります。美少女フィギュアではあまり無い例ですが……)。

そのため塗装はもちろん、パーツ先端のシャープさがパーティングラインの出方なども量産品のお店に並ぶフィギュアより優れている場合がほとんどなんですね。

よくデコマスに比べて量産品のできが悪いフィギュアについて「デコマス詐欺」なんて言葉が使われたりしますが、そもそものパーツの仕上がりのシャープさが段違いなのですから仕方なし、といったところですよね……。

それでもデコマスとほとんど印象が変わらないフィギュアを発売しているメーカー(アルターとか)には頭が上がりませんね……。

じつは瞳の表現も違う

みなさんは例えば『ねんどろいど』などの改造をしたことはありますか?

例外ももちろんありますが、ほとんどのフィギュアは瞳の塗装をシンナーなどで落としてみると、まつげなどの造形がない、のっぺらぼうなことが多いのです。

これはフィギュアの瞳が筆などを使った塗装や、シールなどではなく「タンポ印刷」という技術でプリントされているため。

タンポ印刷とはわかりやすく言えば「ゴムのような柔らかい素材でできたハンコ」のようなもの。

そのため押し付ける面が平滑でないとうまく印刷できないわけですね。

ガレージキットではこうした制約がないため、まつげなどがモールドされていて立体的な仕上がりになっているものが多々あります(もちろん上記のフィギュアのように平滑になっているものもありますが、それはどちらかというとまつげなどの塗装をユーザーが自由に使えるためという側面が強くなっています)。

このように一見同じ人の形をしたフィギュアでも、PVC製かガレージキットかでいろいろなところに「違い」が出てくるわけですね。

これはPVC製フィギュアを買っているだけだとわかりにくいのですが、ガレージキットをいくつか作ってみると見えてくる世界なのでぜひガレージキットにも手を出してみることをオススメしたいですね。

ガレージキットの買い方

最初に述べたとおり、以前はさまざまなメーカーから発売されていたガレージキットですが、現在はPVC製塗装済み完成品の普及によってほぼ(メーカー製の美少女モノは)絶滅危惧種となっています。

が、そんななかでもいまだに「昔ながらのガレージキットを販売しているメーカーがキューズQ」です。

同社はPVC製塗装済み完成品も発売しているのですが、多くのフィギュアについてPVC製品のほか原型から複製したガレージキットも用意し、オンラインショップにて販売してくれているのです。

また、ボークスもいまでも美少女ものガレージキットを販売している貴重なメーカー。

同社が展開している「キャラグミン」シリーズは、成型色で極力キャラクターのカラーリングを再現した「カラーレジンキット」なのが特徴で、パーツの嵌合がいいこともあいまってガンプラ感覚で作ることができる、ちょっと感動的な商品です。

ガレージキットの第一歩としてもオススメですよ。

また、ガレージキットイベント『ワンダーフェスティバル』では、主催者側が「これは!」と思ったクリエイターを選出する『ワンダーショウケース』という試みが行われています。

ワンフェスをはじめとするガレージキットイベントでは、ほとんどの場合「当日版権制度」という、その日その会場のみでだけ自作のガレージキットを版権元公認商品として売買することができる特殊な制度があります。

ですが、ワンダーショウケース選出作品においては通常のフィギュア同様の版権を主催者側が取得することで、後日も海洋堂ショウルームなどで購入することができます。

広いイベントから選出されただけあってハイクオリティかつ、量産品ではないガレージキットらしさに満ちたアイテムが並ぶのでこちらに触れてみるのもオススメですよ。

まとめ

というわけで今回はフィギュア業界のもうひとつの側面、ガレージキットについて簡単にお話しました。ポイントをまとめてみましょう。

  • 塗装済み完成品が増えるまえはフィギュアといえばガレージキットだった!
  • PVC製量産品は金型で作られるが、ガレージキットはゴム型で作られる。そのため複雑な形状でも作ることができる。
  • また、瞳の造形もガレージキットのほうが複雑に作り込むことが可能
  • 現在メーカー品は少ないがキューズQやボークスではガレージキットを販売している

現在のフィギュアブームへの礎を作り上げたガレージキット。

作り上げるのには塗装などの技術が必要なのがハードルが高くなかなか手を出しづらいところもあるかもしれませんが、まずはワンフェスなどのイベントに赴いてアマチュアディーラー卓を覗き、見てみることから始めてみてはいかがでしょうか。

何よりも少数から作れるということもあってメーカー品ではお目にかかれないレアな作品、レアなキャラのフィギュアがたくさん見れるのは眼福このうえないですよ!

ではでは今回はこのへんで~